飲食から転職する人は珍しくありません。厚生労働省の2024年調査で、宿泊業・飲食サービス業の離職率は25.1%と全産業で最も高い数字です。年収の差は年齢とともに開き、産業平均との差は20代前半の月1.2万円が40代前半で月5.6万円になります。20代・30代・40代で変わる戦い方、ホール・キッチン・店長ごとに向く職種、高卒でも通る経路、志望動機の型まで整理しました。
この記事でわかること
- 飲食から転職する人の離職率・年収差・転職後に賃金が上がった割合(厚生労働省の公的統計)
- 20代・30代・40代で何が変わるかと、年代ごとの動き方
- ホール・キッチン・店長の経験がどの職種に直結するかと、有効求人倍率で見た入口の広さ
- 高卒で飲食から転職する場合の通り方と、使える公的制度
- 辞める理由を志望動機に言い換える型と、年代別の例文3本
公的情報源: 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」(参照)/「令和6年賃金構造基本統計調査」(参照)/「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」(参照)/「新規学卒者の離職状況」(参照)/「求職者支援制度のご案内」(参照)
年代と職種を決める前に、飲食経験者が応募できる求人がいまどれだけあるかを見ておくと、話が具体的になります。
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先に答えを置きます
飲食から転職できるかどうかは、年齢で決まりません。決まるのは、ホール・キッチン・店長のどの経験を、どの職種の言葉で出すかです。
同じ「飲食10年」でも、20代なら伸びしろで、30代なら数字で、40代なら人と金の管理で見せる形が変わります。年代ごとに使える武器が違うので、この記事は年代を縦軸、飲食内の職種を横軸にして整理しました。
この記事の要点
- 飲食サービス業の離職率は25.1%で全産業の最高。辞める人は毎年約107万人います
- 産業平均との年収差は年齢とともに開く形です。動くなら差が小さいうちが有利です
- 20代は賃金が上がった人が半数います。30代は実績の数字、40代は経験が直結する職種に絞ります
- 入口が広いのは営業・介護・ドライバー・製造の4職種。一般事務は求人倍率0.29倍で併願が前提です
- 高卒でも通ります。飲食に入った高卒の64.7%が3年以内に辞めているので、同じ道の先輩は多いです
飲食から転職する人は多い?離職率と年収で見る「難しい」の実態
飲食から転職する人は、統計で見ると全産業でいちばん多い部類です。厚生労働省「令和6年雇用動向調査」では、宿泊業・飲食サービス業の離職率は25.1%でした。産業計は14.2%なので、約1.8倍にあたります。
正社員に近い一般労働者に限っても18.1%で、産業計11.5%との差は残ります。2024年の1年間に辞めた人は約107万人、入った人は約121万人でした。人の出入りが激しい業界なので、辞めること自体は珍しくありません。
年収の面では、差が「年齢とともに開く」点を先に知っておいてください。「令和6年賃金構造基本統計調査」の月額所定内給与を、年齢階級ごとに産業計と並べると次のようになります。
宿泊業・飲食サービス業と産業計の月額所定内給与(一般労働者・男女計・2024年)
| 年齢階級 | 宿泊業・飲食サービス業(千円) | 産業計(千円) | 差(千円) |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 221.0 | 232.5 | −11.5 |
| 25〜29歳 | 243.1 | 267.2 | −24.1 |
| 30〜34歳 | 263.1 | 299.5 | −36.4 |
| 35〜39歳 | 282.9 | 328.7 | −45.8 |
| 40〜44歳 | 295.2 | 351.4 | −56.2 |
| 45〜49歳 | 307.1 | 372.7 | −65.6 |
出典: 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」第2表・第5-1表
20代前半の差は月1.2万円ほどですが、40代前半では月5.6万円まで広がります。飲食は昇給の傾きが緩いので、同じ年齢でも、いる産業で天井の高さが変わるという構図です。
つまり「飲食から転職するのは難しい」の正体は、市場が閉じていることではありません。年代ごとに使える武器が変わるのに、20代と同じ「やる気」の出し方で30代・40代が応募すると通らない、という話です。次の章で年代別に分けます。
飲食から転職するなら年代で戦い方が変わる|20代・30代・40代
飲食から転職するなら、年代で見せ方を切り替えると通り方が変わります。20代は伸びしろ、30代は実績の数字、40代は経験が直結する職種への絞り込みが軸です。
年代別|飲食から転職するときの武器と動き方
- 年代が上がるほど「職種を絞る」方向に寄せる
- 20代ポテンシャル枠。職種を変えやすく、転職で賃金が上がった人が約半数
- 30代実績の数字で語る。売上・原価率・教育人数を職務経歴書に置く
- 40代経験が直結する職種に絞る。減収リスクを求人票で先に潰す
図:同じ飲食経験でも、年代によって採用側が見る場所が変わる
年代ごとの数字も置いておきます。「令和6年雇用動向調査」には、転職した人の賃金が前職と比べてどう動いたかが年齢階級別に出ています(全産業)。
転職入職者の賃金変動(前職比・年齢階級別・2024年・全産業)
| 年齢階級 | 増加した人 | 変わらない | 減少した人 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 50.5% | 31.5% | 16.8% |
| 25〜29歳 | 46.3% | 23.1% | 29.2% |
| 30〜34歳 | 46.1% | 29.1% | 24.2% |
| 35〜39歳 | 45.5% | 28.0% | 24.3% |
| 40〜44歳 | 45.9% | 23.7% | 29.0% |
| 45〜49歳 | 46.4% | 26.9% | 23.8% |
出典: 厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」表6
増えた人の割合は、20代後半から40代まで46%前後でほとんど変わりません。変わるのは減った人の割合で、20〜24歳の16.8%から、25〜29歳と40〜44歳では29%台に上がります。年代が上がるほど「上がるか下がるか」が二極化すると読めます。
20代:ポテンシャル枠で職種を変えやすく、賃金が上がった人が半数
20代で飲食から転職するなら、いちばん自由が利く時期です。20〜24歳は転職で賃金が増えた人が50.5%、減った人は16.8%にとどまります。採用側は実績より吸収の早さを見るので、営業・製造・カスタマーサポートのどれも入口が開いています。
同じ調査の「前職を辞めた理由」を見ると、男性25〜29歳では「給料等収入が少なかった」が16.9%で、具体的な理由の中では最も高い割合でした。給料を理由に動くこと自体は、20代では珍しい動機ではありません。
見せ方は「飲食で何を任されていたか」を1つに絞ることです。ホールなら新人教育とクレームの一次対応、キッチンなら仕込みの段取りと発注、どちらも数字を1つ添えると伸びしろの根拠になります。20代で未経験の職種へ移るときの窓口選びは、未経験転職におすすめの転職エージェント5選にまとめました。
30代:ホール・キッチン・店長の実績を数字で出せば十分に動ける
30代で飲食から転職する人は、統計上は20代と同じくらい賃金が上がっています。30〜34歳で増えた人は46.1%、35〜39歳で45.5%でした。ただし採用側は「何をやってきたか」を問い始めるので、実績を数字で出せるかが分かれ目になります。
飲食の30代が持っている数字は、思っているより多いです。月商・原価率・廃棄率・教育した人数・シフトを組んだ人数・担当した発注額は、どれも職務経歴書に書ける材料です。「忙しい店で頑張った」は評価されませんが、「月商600万円の店で原価率を2ポイント下げた」は評価されます。
辞める理由の傾向も20代と変わります。男性30〜34歳では「会社の将来が不安だった」が14.9%で、男性の全年代の中でいちばん高い数字でした。
将来不安が動機なら、志望動機は「長く続けられる産業に移りたい」ではなく、次の仕事で何を積みたいかを主語にすると通りやすくなります。30代の具体策は30代におすすめの転職エージェントも参考にしてください。
40代:経験が直結する職種に絞り、減収リスクを先に潰す
40代で飲食から転職するなら、応募先を「経験が直結する職種」に絞ります。40〜44歳は転職で賃金が減った人が29.0%と、30代後半の24.3%より多くなります。
未経験の若手枠で戦うと減収になりやすいので、店長・料理長・複数店舗の管理といった経験を、そのまま管理側の仕事に接続する形が現実的です。
もう一つ、40代は「額面の見方」で差が出るところです。飲食では深夜手当や休日手当が上乗せされていた人が多いので、求人票の基本給が同じでも手取りが下がることがあります。固定残業代の有無と賞与の実績を先に確認しておくと、入社後の減収を防げるでしょう。
40代の壁の越え方と年齢そのものの扱いは、転職は何歳まで可能かの年代別戦略で整理しています。
飲食から転職 おすすめ職種|ホール・キッチン・店長で直結先が違う
飲食から転職するおすすめ職種は、飲食内の担当で分けると決めやすくなります。ホールは対人、キッチンは工程と品質、店長は人と金の管理という具合に、毎日やっていることが違うからです。
飲食内の担当別|毎日の仕事を求人票の言葉に直すと
| 担当 | 毎日やっていること | 求人票の言葉に直すと | 直結する職種 |
|---|---|---|---|
| ホール | 接客・オーダー・クレーム一次対応・新人教育・予約管理 | 顧客対応/一次解決/後輩育成/複数案件の同時処理 | 営業・カスタマーサポート・受付・販売 |
| キッチン | 仕込み・調理・衛生管理・発注・在庫管理・原価計算 | 工程管理/品質管理/数量と原価の管理 | 食品メーカーの製造・品質管理・物流・製造オペレーター |
| 店長・副店長 | 売上管理・シフト作成・採用・教育・本部との折衝・クレーム二次対応 | 損益管理/労務管理/採用育成/法人折衝 | 法人営業・カスタマーサポートの管理職候補・介護施設の管理側・店舗開発 |
右2列が、そのまま職務経歴書の骨組みになります。「接客が好き」「体力に自信がある」は求人票に出てこない言葉なので、採用側が読み替える手間なく評価できる言葉に置き換えてください。
入口の広さは、厚生労働省「一般職業紹介状況」の職業別有効求人倍率で測れます。倍率が1を切る職種は、求人より応募者のほうが多い状態です。
職業別の有効求人倍率(令和8年7月・全国・常用・パート含む)
| 職業 | 有効求人倍率(倍) | 入口の広さ |
|---|---|---|
| 職業計 | 1.05 | 基準 |
| 介護サービス職業従事者 | 3.82 | 非常に広い |
| 自動車運転従事者 | 2.53 | 広い |
| 営業職業従事者 | 2.05 | 広い |
| 商品販売従事者 | 1.73 | 広い |
| 製品製造・加工処理従事者(金属製品を除く) | 1.60 | やや広い |
| 情報処理・通信技術者 | 1.34 | やや広い(学習が前提) |
| 営業・販売事務従事者 | 0.87 | やや狭い |
| 一般事務従事者 | 0.29 | 非常に狭い |
出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」参考統計表
この倍率と担当別の直結度を重ねると、おすすめ職種は6つに整理できます。
飲食から転職するおすすめ職種|入口の広さ×経験の直結度
- 職種
- 法人営業・個人営業/カスタマーサポート
- 効く経験
- ホールの一次対応・常連客への提案・店長の本部折衝
- 職種
- 食品メーカーの製造・品質管理/物流・製造オペレーター/介護・ドライバー
- 効く経験
- 衛生管理・発注・原価計算・シフト管理・体力面の耐性
- 職種
- 一般事務・営業事務
- 効く経験
- 発注・売上入力・予約管理+表計算の学習証拠
図:本命が事務なら、入口の広い職種を1つ併願しておくと活動が止まらない
1. 法人営業・個人営業|ホールの提案と店長の折衝がそのまま実績になる
営業は倍率2.05倍で入口が広く、飲食経験の直結度も高い職種です。ホールでおすすめメニューを提案して客単価を上げていた人、常連客を増やしていた人は、その動きが個人営業の材料になります。
店長として本部や取引先と交渉していた人は、法人営業の「折衝」として書ける実績です。数値管理・組織運営・課題解決の3つに分けて書くと、法人営業の面接官に伝わりやすくなります。
すでに店舗で宴会営業や法人向けの催事販売を担当し、数字を持っている人は、営業経験者として応募できる求人も候補に入るでしょう。
2. カスタマーサポート|クレームの一次対応が即戦力に近い
ホールでクレームの一次対応をしていた人は、カスタマーサポートで最も評価されやすい経験を持っています。電話とメールでの対応に慣れていなくても、対面で収めた件数と流れを書けば通りやすくなるはずです。
店長としてクレームの二次対応や本部報告をしていた人は、スーパーバイザー候補として応募できる求人もあります。シフト作成と人の管理をしていた経験が、そのまま応対品質の管理に使える材料です。
3. 食品メーカーの製造・品質管理|キッチンの衛生管理と原価計算が直結する
キッチン出身の人にとって、食品メーカーの製造や品質管理はいちばん近い仕事です。HACCPに沿った衛生管理、仕込みの数量計算、廃棄率の管理は、工場の工程管理と同じ考え方で動いています。
製品製造・加工処理従事者の倍率は1.60倍で、入口は広めです。土日休みで固定シフトの工場も多いので、生活面の希望と両立しやすい選択肢になります。
4. 物流・製造オペレーター・ドライバー|体力面の耐性が評価される
立ち仕事と繁忙期の耐性は、物流センターや製造現場では評価されます。自動車運転従事者の倍率は2.53倍で、配送ドライバーは飲食からの移り先として入口が広い職種です。
飲食で早朝や深夜のシフトを回していた人は、時間帯の柔軟さも書けます。ただし、ドライバーは拘束時間が長い求人もあるので、休日と残業の実績を求人票で確認してください。
5. 介護|40代以降でも入口が広く、対人経験が活きる
介護サービス職業従事者の倍率は3.82倍で、今回の表の中で最も広い入口です。ホールで高齢のお客様に接していた経験や、店長として人の体調やシフトを気にかけていた経験は、介護の現場でそのまま使えます。
未経験から入る場合は、初任者研修を受講しながら働ける求人が多くあります。年収は施設の種類と資格で変わるので、求人票の資格手当と夜勤の有無を見て決めてください。
6. 事務職(一般事務・営業事務)|入口が狭いので併願で持つ
土日休みとデスクワークを目的にするなら、事務は当然の候補です。ただし一般事務の倍率は0.29倍で、求人1件に3人以上の求職者がいる計算になります。営業事務でも0.87倍です。
事務を本命にする場合は、発注・売上入力・予約管理といった「処理」の実績に加え、表計算の学習を証拠つきで出す必要があります。
そのうえで、営業かカスタマーサポートを1つ併願しておくと活動が止まりません。
高卒で飲食から転職する場合の通り方
高卒で飲食から転職する場合も、通り方は大卒と変わりません。学歴で門前払いになる職種は今回挙げた6つの中にはなく、差がつくのは「飲食で何を任されたか」を書けるかどうかです。
先に数字を置きます。厚生労働省「新規学卒者の離職状況」では、2022年3月に高卒で宿泊業・飲食サービス業に就職した人の64.7%が3年以内に辞めています。産業計は37.9%なので、飲食は特に高い数字です。
大卒でも55.4%(産業計33.8%)で、学歴を問わず入れ替わりが激しい業界だと分かります。
つまり、高卒で飲食に入って数年で転職を考えるのは、同じ道を通った人が多い普通の経路です。ここで学歴が効く場面と効かない場面を分けておきます。
学歴別と産業別の月額所定内給与(30〜34歳・一般労働者・男女計・2024年)
| 区分 | 月額所定内給与(千円) |
|---|---|
| 高校卒(全産業) | 265.4 |
| 大学卒(全産業) | 325.2 |
| 宿泊業・飲食サービス業(全学歴) | 263.1 |
| 製造業(全学歴) | 282.4 |
| 運輸業・郵便業(全学歴) | 292.0 |
| 医療・福祉(全学歴) | 296.3 |
| 情報通信業(全学歴) | 349.8 |
出典: 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」第3表・第5-1表
30〜34歳で見ると、高卒全体の平均265.4千円と、飲食サービス業全体の平均263.1千円はほぼ同じ水準です。
学歴の差(高卒と大卒で約60千円)より、産業の差(飲食と情報通信で約87千円)のほうが大きく出ています。高卒かどうかより、どの産業に移るかで天井が動くということです。
高卒で飲食から転職するときの通り方
- 学歴欄で落とされない求人に、実績の数字を持って入る
- 手順1求人票の学歴欄を先に見る「学歴不問」「高卒以上」の求人だけを母数にする
- 手順2飲食の実績を数字で3つ書く教育した人数・発注額・客単価・廃棄率のどれか
- 手順3足りない技能は公的訓練で埋めるハロートレーニング/求職者支援制度(無料・条件を満たせば月10万円の給付)
- 手順4入口の広い職種から受ける営業・介護・製造・ドライバー→事務は併願
学歴で門前払いになる求人は最初から外し、通る求人の中で実績を競う。
図:学歴欄で落ちる求人を母数から外すと、通過率は経験で競える
求人票の学歴欄は、応募前に先に見てください。「大卒以上」と書いてある求人に応募しても、書類の段階で読まれないことがあります。「学歴不問」「高卒以上」の求人だけを母数にすると、あとは飲食の実績で競える土俵です。
事務やIT系のように学習の証拠が要る職種を狙うなら、公的な職業訓練が使えます。厚生労働省の求職者支援制度は、雇用保険を受給できない離職者などが対象で、無料の職業訓練を受けながら条件を満たせば月10万円の給付金を受けられます。
在職中でも収入が一定額以下なら対象になるので、退職前に窓口で確認しておくと選択肢が広がるでしょう。
資格を先に取る必要はありません。介護の初任者研修のように働きながら取れるものは入社後で足ります。先に整えるべきは、飲食の実績を数字で3つ書き出した職務経歴書のほうです。
飲食から転職する志望動機の型|辞める理由の言い換えと年代別例文
飲食から転職する志望動機は、辞める理由をそのまま書くと不満に聞こえます。反転させて「次で何をしたいか」に言い換えると、退職理由と志望動機が一本につながるでしょう。
辞める理由→志望動機への反転
- 不満を「次でやりたいこと」の形にすると、退職理由と志望動機が一本になる
- 手順1理由を1つに絞る給料・労働時間・将来不安・人間関係・体力のどれが一番大きいか
- 手順2応募職種の業務と結ぶその不満が、応募職種では解消される理由を業務の言葉で書く
- 手順3飲食の実績で裏づける数字の入った場面を1つ添える
- 手順4生活面は最後に1文土日休みや固定シフトは主語にしない
面接では退職理由と志望動機を続けて聞かれます。同じ軸で答えられるかを先に確認してください。
図:辞める理由を1つに絞り、応募職種の業務と結ぶと軸がぶれない
言い換え例を4つ置きます。上の3つは「令和6年雇用動向調査」の理由項目にあるもので、体力面は飲食の立ち仕事に固有の理由として加えました。
辞める理由別|そのまま言うと/言い換えると
| 辞める理由 | そのまま言うと(NG) | 言い換えると(OK) |
|---|---|---|
| 給料が上がらない | 「給料が低かった」 | 「成果が評価に反映される環境で、客単価を上げた経験を伸ばしたい」 |
| 労働時間・休日 | 「シフトがきつかった」 | 仕事の話を先に置き、生活面は最後に1文だけ添える |
| 会社の将来が不安 | 「店が閉まりそうだった」 | 「次の10年で積める専門性を決めて、そこに時間を使いたい」 |
| 体力的に厳しい | 「立ち仕事が限界だった」 | 「長く続けられる環境で、現場で覚えた段取りを仕組みに変えたい」 |
言い換えで避けたいのは、飲食の仕事を否定する形です。「飲食では成長できなかった」と言うと、採用側は「うちでも同じことを言うのでは」と受け取ります。飲食で得たものを肯定し、その先に応募職種を置くのが基本形です。
年代別に、担当の違う3本を置きます。数字は自分のものに置き換えてください。
志望動機の例文|20代・ホール→法人営業
ホールで2年半、平日でも1日120組が来店する店で新人4人の教育とクレームの一次対応を担当しました。お客様の要望を聞いて提案し、その場で決めてもらう流れに手応えがあり、提案から契約までを自分で持てる法人営業を志望しています。貴社の◯◯は既存顧客への継続提案が中心と伺い、常連客との関係づくりで得た経験を活かせると考えました。
志望動機の例文|30代・キッチン→食品メーカーの製造・品質管理
調理担当として8年、1日300食の仕込みと衛生管理、月◯万円の食材発注を担当し、廃棄率を12%から7%へ下げました。決められた手順で品質を揃える仕事に手応えがあり、製造ラインの品質管理を志望しています。HACCPに沿った衛生管理は店舗で運用してきたので、貴社の◯◯工場で早い段階から戦力になれると考えています。
志望動機の例文|40代・店長→カスタマーサポートの管理職候補
店長として12年、スタッフ20名のシフト作成と採用、月商800万円の店舗運営を担当しました。人と数字の両方を管理する仕事を続けたく、応対品質と対応件数を管理するスーパーバイザーを志望しています。クレームの二次対応を年間◯件収めた経験を、対応品質の改善に活かします。
3本とも「飲食で得た具体」→「応募職種で使える理由」→「その会社である理由」の順で組みました。生活面の希望は、聞かれたときに1文で答えれば十分です。
飲食から転職するならいつ動く?在職中か退職後かの決め方
飲食から転職するなら、在職中に動くのが基本です。飲食は入職率28.4%で辞める人も入る人も多い業界ですが、辞めてから探すと空白期間と収入の両方が問題になります。
在職中の活動が難しいのは、シフト制で面接の時間が取りにくいからです。ここは平日休みを面接日に当てる、エージェントに日程調整を任せる、の2つで解決できます。エージェント経由なら、書類の添削と面接日程の調整を一緒に進められます。
退職後に動くなら、条件は2つです。3か月分の生活費があることと、先に述べた求職者支援制度やハロートレーニングで技能を埋める計画があることです。この2つがそろうなら、事務やIT系のように学習期間が要る職種へ移る選択肢が開けます。
年代別の「動く時期」もまとめておきます。
年代別|飲食から転職するなら動く時期の目安
- 20代:思い立った時点で動いて構いません。ポテンシャル枠は年齢が若いほど広く、賃金が上がった人も半数います
- 30代:34歳までに1回目の応募を出すと、即戦力とポテンシャルの両方で見てもらえます。実績の数字を先に書き出してください
- 40代:直結する職種を1つ決めてから動くのが安全です。求人票で固定残業代と賞与実績を確認し、減収を避ける条件を先に固めます
なお、飲食の仕事自体は続けたいが今の店の条件が合わない、という人もいるでしょう。その場合は業界を出ずに条件を変える道もあり、外食専門のエージェントを使う手があります。
よくある質問
飲食から転職する人から相談されることが多い質問を6つ選びました。
Q1:飲食から転職するのは難しいですか?
年代と担当に合わせて職種を決めれば、難しくありません。宿泊業・飲食サービス業の離職率は25.1%(厚生労働省・2024年)で、辞める人は毎年約107万人います。
落ちる原因の大半は、「飲食経験」を職種の言葉に直さずに応募していることです。ホール・キッチン・店長の経験を求人票の言葉に置き換え、入口の広い職種から受けると通過率は動きます。
Q2:飲食から転職するならどの職種がおすすめですか?
営業・カスタマーサポート・食品メーカーの製造や品質管理の3つが、経験の直結度と入口の広さの両方で有利です。営業の有効求人倍率は2.05倍で、ホールの提案経験や店長の折衝経験がそのまま実績になります。
一般事務は倍率0.29倍で入口が狭いので、本命にするなら営業かカスタマーサポートを併願してください。
Q3:30代で飲食から転職しても年収は上がりますか?
上がる人のほうが多いです。厚生労働省の2024年調査では、30〜34歳の転職者のうち賃金が増えた人は46.1%、減った人は24.2%でした。
ただし産業平均との差は30代前半で月3.6万円あり、未経験で入る初年度は産業平均より低い額から始まることがあります。月商や原価率などの実績を数字で示せる人ほど、初年度の額が上がりやすくなるでしょう。
Q4:40代で飲食から転職できますか?
できます。40〜44歳の転職者でも賃金が増えた人は45.9%で、30代と変わりません。差が出るのは減った人の割合で、29.0%と30代後半より高くなります。
未経験の若手枠を避け、店長や料理長の経験が直結する管理側の職種に絞ると、減収の確率を下げられます。求人票では固定残業代と賞与実績を先に確認してください。
Q5:高卒で飲食から転職する場合、資格は必要ですか?
先に資格を取る必要はありません。今回挙げた営業・カスタマーサポート・製造・介護・ドライバーは、いずれも学歴不問や高卒以上の求人が多い職種です。
必要なのは、飲食の実績を数字で3つ書いた職務経歴書です。学習の証拠が要る事務やIT系を狙うなら、求職者支援制度の無料訓練を使う手があります。
Q6:飲食から転職の志望動機で「土日休み」と言ってもいいですか?
言って構いませんが、主語にしないでください。志望動機の軸は「次の仕事で何をしたいか」に置き、生活面の希望は最後に1文で添える形にします。
「土日休みだから」を先に出すと、採用側は仕事への関心が薄いと受け取ります。辞める理由を「次でやりたいこと」に反転させてから、休日の話を短く足すのが基本形です。
まとめ:年代で武器を切り替え、担当の経験を職種の言葉に直す
飲食から転職するときに必要なのは、経験を積み直すことではありません。年代に合った見せ方を選び、ホール・キッチン・店長の経験を応募先の求人票の言葉に置き換えるだけで、評価のされ方が変わります。
この記事のまとめ
- 飲食サービス業の離職率は25.1%で全産業の最高。辞める人は毎年約107万人いる(厚生労働省・2024年)
- 産業平均との年収差は20代前半の月1.2万円が40代前半で月5.6万円に開く。動くなら早いほど差が小さい
- 20代は伸びしろ、30代は実績の数字、40代は直結する職種への絞り込みが軸。賃金が増えた人は各年代とも約46%
- 入口が広いのは営業(2.05倍)・介護(3.82倍)・ドライバー(2.53倍)・製造(1.60倍)。一般事務(0.29倍)は併願が前提
- 高卒で飲食に入った人の64.7%が3年以内に辞めている。学歴より産業で天井が動くので、学歴不問の求人を母数にして実績で競う
- 志望動機は辞める理由を「次でやりたいこと」に反転し、生活面は最後に1文
まず、自分の担当で数えられる数字を3つ書き出してください。次に、年代に合った職種を1つ選び、求人票の言葉で職務経歴書を書き直します。担当の数字を職種の言葉に直せた時点で、飲食からの転職は半分終わっています。
職種が決まったら、その職種の求人を実際に見て、自分の担当の経験がどう評価されるかを確かめるのが最短です。Z転職は企業とのマッチング型で、営業・製造・事務など未経験可の求人も幅広く扱っています。
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※本記事は転職・求人サービスの公開情報と公的統計(厚生労働省)をもとにした整理です。掲載の賃金・求人倍率・離職率は各統計の公表時点の数値であり、個別の求人条件や転職の結果を保証するものではありません。最終的なサービス選択・転職判断は各公式サイトの最新情報および厚生労働省等の公的情報をご確認のうえご判断ください。年収・労働条件に関わる重要な判断は、内定後の労働条件通知書でご確認ください。

