30代の未経験転職は遅くありません。令和7年の雇用動向調査では、転職で前職より賃金が増えた人は30〜34歳で48.6%、35〜39歳で43.5%でした。サービス業出身なら、店長や教育係で任されたことを言葉にし、入口の広い職種から入るのが近道です。
この記事でわかること
- 転職で賃金が増えた30代の割合(厚労省・令和7年雇用動向調査)
- 企業が中途採用の賃金を決めるときに見る点=経験・能力・知識59.2%(令和7年転職者実態調査)
- 30代が狙いやすい職種の有効求人倍率と、30代の産業別の月の賃金
- 店長・教育係の経験を職務経歴書で伝える言い換え表と、在職中に進める手順
公的情報源: 厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」(参照)/「令和7年転職者実態調査の概況」(参照)/「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」(参照)/「令和7年賃金構造基本統計調査 産業別にみた賃金」(参照)
先に結論
30代で接客・販売・飲食から異業種へ移る人は珍しくありません。20代と違うのは、「前の職場で何を任されてきたか」を具体的に聞かれることです。
店長代理、アルバイトの教育、シフトや売上の管理。サービス業で当たり前にやってきたことが、そのまま30代の武器になります。あとは、その経験が話しやすく、求人の多い職種から入るだけです。
この記事の要点
- 転職で賃金が増えた人は30〜34歳48.6%・35〜39歳43.5%。全体の40.8%より高い
- 企業が中途採用の賃金で見るのは経験・能力・知識(59.2%)。管理・育成の経験は数字で伝える
- 入口が広いのは営業2.05倍・接客2.31倍。一般事務は0.29倍で併願向き
- 30代前半の月の賃金は宿泊・飲食27.00万円、情報通信36.34万円。業界で差が出る
30代の未経験転職は遅くない|賃金が上がった人の割合
30代でも、転職した人の半分近くは賃金を上げています。厚生労働省「令和7年雇用動向調査」(2026年8月公表)から、転職で前職より賃金が増えた人・減った人の割合を年齢別に並べました。
転職による賃金の変化(令和7年雇用動向調査)
| 年齢 | 増加 | うち1割以上の増加 | 減少 |
|---|---|---|---|
| 30〜34歳 | 48.6% | 32.8% | 29.0% |
| 35〜39歳 | 43.5% | 32.8% | 23.9% |
| 40〜44歳 | 44.9% | 29.9% | 27.4% |
| 全体 | 40.8% | 28.2% | 31.0% |
30代の「増加」は、どちらの年齢も全体の40.8%を上回っています。一方で、30〜34歳の29.0%は賃金が下がりました。上がる人と下がる人を分けるのは、職種と業界の選び方です。
30代前半と後半で変わること
30代前半は、未経験の職種でも「これから育てる人」として採る求人がまだ多い時期です。30代後半になると、リーダー経験や数字の管理など、前の職場で任されたことをより具体的に聞かれます。
30代前半と後半で準備することの違い
- 賃金が増えた割合
- 48.6%
- 見られやすい点
- 仕事を変える理由と、新しい職種で伸びる見込み
- 準備
- 営業・カスタマーサポートなど入口の広い職種を軸にする
- 賃金が増えた割合
- 43.5%
- 見られやすい点
- 人を育てた経験、数字を管理した経験
- 準備
- 店長・教育係の実績を人数・期間・結果で書く
図:30代前半は伸びしろ、30代後半は任されてきたことの中身が問われやすい(割合は令和7年雇用動向調査)
30代は「何を任されてきたか」で見られる|管理・育成経験の伝え方
厚生労働省「令和7年転職者実態調査」(2026年9月公表)では、転職者がいる事業所が賃金を決めるときに考慮した要素(複数回答)は、「これまでの経験・能力・知識」が59.2%で最も多く、「年齢」35.3%を大きく上回りました。30代の未経験転職でも、前の仕事の経験はしっかり見られています。
サービス業の経験は、言葉を置き換えると一般企業の仕事に重なります。職務経歴書では、次の右側の言い方で書くと伝わります。
サービス業の管理・育成経験を職務経歴書で伝える言い方
| サービス業での経験 | 職務経歴書での言い方 | 活きる職種 |
|---|---|---|
| 店長・店長代理として店を回した | 売上目標の管理と人員の配置 | 営業・店舗開発・人材系 |
| アルバイトの採用面接・教育 | 採用と新人教育の担当 | 人材コーディネーター・教育担当 |
| シフト作成・人件費の調整 | 人員計画とコスト管理 | 営業事務・管理部門 |
| クレームや要望の対応 | 問題の聞き取りと解決の調整 | カスタマーサクセス・サポート |
| 本部への日報・報告 | 数字の報告と改善の提案 | 営業・企画の補佐 |
書くときは、人数・期間・結果のどれかを数字で添えるのがコツです。「アルバイト8人の教育を2年担当し、半年以内の退職を減らした」のように書くと、任された仕事の大きさが伝わります。例文は接客スキルを職務経歴書で伝える書き方にまとめました。
店長・教育係の経験を書く3つの要素
- 「店長をしていました」を具体的にする
- 何を任されたか売上の管理、採用・教育、シフトと人件費の調整など
- どのくらいの規模か店の売上、スタッフの人数、担当した期間
- どう変えたか売上・離職・クレーム件数など、前後で変わった数字
図:任されたこと・規模・変えたことの3つを書くと、未経験の職種でも30代の経験として伝わる
30代のサービス業出身者が狙いやすい職種
職種は、入口の広さ(有効求人倍率)と入った後の給与の2つで選びます。
職業別の有効求人倍率(令和8年8月・常用・パート含む)
| 職業 | 有効求人倍率 |
|---|---|
| 接客・給仕の職業 | 2.31倍 |
| 営業の職業 | 2.05倍 |
| 商品販売の職業 | 1.72倍 |
| 情報処理・通信技術者 | 1.33倍 |
| 職業計(全体) | 1.06倍 |
| 営業・販売事務 | 0.88倍 |
| 一般事務 | 0.29倍 |
出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」参考統計表。
30代の産業別の月の賃金(令和7年・男女計・所定内給与)
| 産業 | 30〜34歳 | 35〜39歳 |
|---|---|---|
| 宿泊業,飲食サービス業 | 27.00万円 | 28.64万円 |
| 生活関連サービス業,娯楽業 | 28.58万円 | 30.89万円 |
| 卸売業,小売業 | 30.22万円 | 33.67万円 |
| 情報通信業 | 36.34万円 | 41.01万円 |
| 金融業,保険業 | 37.86万円 | 44.87万円 |
出典: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」第5-1表。35〜39歳で比べると、宿泊・飲食と情報通信業の差は月12.37万円に開きます。年齢や勤続年数の違いを含んだ平均なので、転職直後の給与とは別物ですが、業界ごとの水準の違いは読み取れます。
30代の職種選びの順番
- 何を優先して次の仕事を選ぶか
- 1入口の広い職種を軸にする営業2.05倍・接客の延長の職種から選ぶ
- 2給与の水準が高い業界を選ぶ同じ営業でも、情報通信・金融などは30代の賃金が高い
- 3本命の事務は併願で狙う一般事務0.29倍。営業事務・サポート職と並べて受ける
職種で入口を広げ、業界で給与を選ぶ。
図:30代は入口の広い職種を軸にし、業界で給与の水準を選ぶと活動が止まりにくい
法人営業・ルート営業
30代の未経験でも採る求人が多い職種です。既存の取引先を回るルート営業は、常連のお客さまとの関係づくりに近く、接客の経験が活きます。扱う商材と業界で給与の水準が変わるので、業界も見て選びます。年収面の考え方はサービス業から異業種へ移って年収を上げる方法で整理しています。
カスタマーサクセス・カスタマーサポート
契約したお客さまの困りごとを聞き、使い方を案内する仕事です。クレーム対応や要望の聞き取りの経験がそのまま使えます。IT企業の中で働きながら仕組みを覚えられるのも利点です。
人材コーディネーター
求職者と企業の間に入り、仕事を紹介する職種です。アルバイトの採用面接や教育を担当してきた店長経験は、話の中身として通じやすくなります。
事務職は併願で
土日休みを求めて事務を目指す30代は多いものの、一般事務は0.29倍と入口が狭い職種です。営業事務やカスタマーサポートなど、近い職種を一緒に受ける形が現実的です。
年収・家族・時間の不安への備え
30代の転職では、収入と家族の生活がからみます。不安を小さくするには、動き出す前に数字と段取りを決めておくことです。
- 今の手取りと毎月の生活費を書き出し、下げられる上限を決めておく
- 家族には、応募を始める前に「いつまでに・どんな条件で」を共有する
- 面接はシフトの休みに寄せ、平日休みの強みを使う
- 内定が出るまで今の仕事は辞めない
賃金が下がる可能性があるのは、上の表のとおり30〜34歳で約3割です。最初の年収が少し下がっても、土日休みや残業の少なさなど、手に入れたい条件と引き換えにできるかを先に決めておくと、内定が出たときに迷いません。
30代の未経験転職の進め方|在職中に3〜6か月
30代は、応募の前に経験を言葉にする準備が20代より大切になります。在職中に3〜6か月を目安に進めます。
- 1か月目: 辞めたい理由と譲れない条件を2つまで書き出し、職種を2〜3に絞る
- 1〜2か月目: 店長・教育係の経験を、任されたこと・規模・結果の形で職務経歴書にまとめる
- 2か月目: 転職エージェントに登録し、書類の添削と求人の紹介を受ける
- 2〜5か月目: 応募と面接。シフトの休みに面接を集める
- 内定後: 条件を書面で確かめ、退職は就業規則の期限どおりに申し出る
転職エージェントは2社ほど並べて使うと、担当者との相性や紹介される求人の違いが見えます。紹介手数料を払うのは採用する企業側で、求職者の登録と相談は無料です。未経験向けの選び方は未経験転職におすすめの転職エージェント、併用のしかたは転職エージェントの複数併用ガイドにまとめています。
よくある質問
Q1:30代の未経験転職は本当に可能ですか?
可能です。令和7年雇用動向調査では、転職で前職より賃金が増えた人は30〜34歳で48.6%、35〜39歳で43.5%と、全体の40.8%を上回りました。入口の広い営業職などから入ると、未経験でも動きやすくなります。
Q2:30代で未経験の仕事に転職すると年収は下がりますか?
下がる人もいます。同じ調査で賃金が減った人は30〜34歳で29.0%、35〜39歳で23.9%でした。業界によって給与の水準が違うので、職種と一緒に業界を選び、下げられる上限を先に決めておくと安心です。
Q3:店長経験は異業種の転職で評価されますか?
伝え方しだいです。令和7年転職者実態調査では、企業が転職者の賃金を決めるときに考慮した点は「経験・能力・知識」が59.2%で最多でした。売上の管理や教育の経験を、人数・期間・結果の数字で書くと伝わります。
Q4:30代からでも事務職に転職できますか?
一般事務だけに絞ると難しくなります。令和8年8月の有効求人倍率は一般事務0.29倍です。営業事務やカスタマーサポートなど近い職種を併願すると、入口が広がります。
Q5:在職中でも転職活動は進められますか?
進められます。シフト制なら平日に休みを入れて面接に充てられます。収入が途切れないぶん、条件で妥協しにくくなるので、内定が出るまでは今の仕事を続けるのが基本です。
まとめ:30代は任されてきたことを言葉にして、入口の広い職種から
この記事のまとめ
- 転職で賃金が増えた人は30〜34歳48.6%・35〜39歳43.5%。30代でも遅くない
- 企業が見るのは経験・能力・知識(59.2%)。店長・教育係の経験を数字で書く
- 入口が広いのは営業・接客・販売。一般事務(0.29倍)は併願で狙う
- 給与は業界で変わる。35〜39歳で宿泊・飲食28.64万円、情報通信41.01万円
- 在職中に3〜6か月で進め、退職は内定後に伝える
30代の未経験転職で差がつくのは、経験の伝え方と職種の選び方です。まずは店長や教育係として任されてきたことを書き出すところから始めてみてください。
免責事項
※本記事は公的統計と転職・求人サービスの公開情報をもとにした整理です。統計は調査時点の全国平均で、地域・企業・時期により変わります。最終的な転職判断は各サービスや公的機関の最新情報をご確認のうえご判断ください。

